離婚における公正証書作成のメリットとは
離婚するときにお互い合意した内容をまとめたものが離婚協議書ですが、公正証書を作成することで法的効力を持ちます。
この記事では、離婚するときに公正証書を作成するメリットについて解説します。
公正証書とは
公正証書とは、公証役場に在籍する公証人が作成する書類であり、法的効力を持つので不履行の場合は強制執行ができます。
また、公正証書の作成は公証人だけが行えるため、手間でも公証役場に出向いて作成してもらわなければなりません。
離婚における公正証書を作成するメリット
離婚するときに公正証書を作成するメリットは主に4つあるのでみていきましょう。
証拠能力が高い
公正証書の作成は、夫婦がそろった状態で公証役場の窓口に行き、公証人に作成を依頼します。
公証人は両者の意思を確認しながら、食い違ないか確認して作成し、その後に両者の署名・捺印をするため、第三者である公証人の前で合意したものとして証拠能力が高いといえるでしょう。
その他にも「言った覚えがない」「記憶にない」といった論争を防ぐためにも有効です。
また、公正証書作成時には、記載内容が不履行だった場合は強制執行を行えることも説明してもらえるので支払う側への抑止力にもなります。
強制執行が行える
公正証書を作成して不履行があった場合、地方裁判所に強制執行の申し立てをすれば、相手の預金口座などの財産を差し押さえることが可能です。
ただし、強制執行するためには、公正証書に「養育費について取り決めた内容に加え、養育費を支払う人の支払いが滞った場合には、直ちに強制執行を受けてもやむを得ない」と言った内容の記載が必要です。
また、相手の現住所や財産を把握する必要があるので注意してください。
離婚協議書は、不履行があれば内容証明郵便を送付して、請求したにも関わらず支払ってもらえない場合は家庭裁判所に養育費請求調停を申し立てます。
養育費請求調停では相手と合意の元で調停調書を作成し、それでも支払ってもらえない場合に強制執行が可能です。
公正証書の場合は、不履行を確認した時点で裁判所に強制執行を申し立てれば、家庭裁判所で調停や審判などの手続きをしなくても強制執行できます。
公正証書は、離婚協議書と比較すると、手続きの手間を省けるメリットがあります。
原本の紛失を防げる
公正証書を作成すると原本は公証役場で厳重に保管され、当事者には写しが渡されます。
離婚協議書は自分で原本を保管するしかなく、公正証書においても写しを適当な場所で保管したり、数年経過すると引っ越しなども含めて保管場所がわからなくなったりして紛失することがあります。
公正証書であれば、紛失しても公証役場に行けば再発行してもらえるので安心です。
また、公証役場では原本を20年間保管しているので、いくら写しを改ざんしても法的効力はなく、盗難や紛失の恐れもありません。
公正証書作成の注意点
公正証書を作成する際にはいくつか注意点があるので解説します。
強制執行認諾文言付き公正証書でなければ強制執行を行えない
公正証書作成のときには、「〇〇は、第〇条の債務の支払いを遅滞したときには、直ちに強制執行に服する旨陳述した。」といった強制執行認諾文言を記載してもらってください。
公正証書の作成時に養育費ついて話し合った内容を記載していても、上記のような強制執行認諾文言の記載がなければ強制執行は行えないので注意して確認することをおすすめします。
(参考元:法務省 公正証書によって強制執行をするには)
強制執行する場合は相手の財産を確認しておくこと
公正証書は強制執行できますが、相手が無職などで財産がなければ差し押さえる財産がないので未払いの養育費を受け取ることはできません。
また、財産はなくても働いていれば給与はあるので差し押さえは可能です。
無職になった原因が病気やいくら面接してもどこも雇ってくれないなど、自身の生活が困窮している場合は強制執行できないので注意しましょう。
離婚の公正証書は手数料がかかる
夫婦で作成する離婚協議書には決まった書式はなく、手数料もかかりません。
一方、夫婦が合意した内容に基づき、公証人に離婚の公正証書を作成してもらう場合は、財産分与、慰謝料、養育費などの支払い契約額を基に算出された手数料がかかります。
その他にも文書料や交付送達費用などが必要です。
夫婦で同席しなければ作成できない
離婚における公正証書作成は、基本的に当事者である夫婦は同席しなれば作成できません。
作成しようと話し合った段階では両者とも合意していたのに、当日になると夫婦のどちらかが公証役場に来ないケースも多いようです。
どちらかが欠席した場合は、後日改めて公証役場に予約を入れて出直す必要があります。
まとめ
今回は、離婚における公正証書のメリットについて解説しました。
公正証書は公証役場に在籍している公証人しか作成できず、強制執行認諾文言の記載があることが重要です。
もし、不履行があった時点で裁判所に申し立てれば調停や審判をせずに強制執行できます。
公正証書の手続きがわからない方や必要書類の収集の時間を確保できない方などは、法律の専門家でもある弁護士にご相談することをおすすめします。